電験三種合格に必要な勉強時間
電験三種の合格に必要な勉強時間のおおまかな目安は以下のとおりです。
- 初学者の場合は1,000時間程度が目安
- 基礎知識がある場合は500時間程度が目安
上記のように、電気に関する知識レベルによって必要な勉強時間は大きく異なります。また上記の勉強時間はあくまで目安であり、さらに短い時間で済むこともあれば、より時間がかかる場合もある点にご留意ください。
それぞれの勉強時間について、以下で詳しく解説します。
初学者の場合は1,000時間程度が目安
文系出身者など、電気の知識がほとんど無い初学者の場合、勉強時間の目安は1,000時間程度です。学業や仕事との両立を考えると、合格までに2~3年ほどかかる可能性があります。
電験三種の試験では電気に関する幅広い専門知識が問われます。初学者の場合、まずは電気の基礎を一から学ばなければなりません。
また、電験三種では単なる電気の知識だけでなく、計算力や応用力も求められます。計算練習や過去問演習に割く時間も考慮すると、初学者は1,000時間程度の学習が必要です。
基礎知識がある場合は500時間程度が目安
電気系大学出身者など、電気の基礎知識を持っている方は合格までに500時間程度の勉強時間が必要です。学業や仕事との両立を考慮すれば、1~2年ほどで合格を目指せます。
電気の基礎を理解していれば、新たに習得しなければならない知識が少なく済みます。また計算練習や過去問演習など、電験三種の実践的な対策にも時間が割きやすいです。
電気に関する知見がすでにあれば学習効率も上がり、その分初学者よりも短い勉強時間で合格できます。
電験三種の勉強に時間がかかる3つの理由
験三種の勉強に多くの時間がかかる理由は、主に以下の3つです。
- 幅広い専門知識が求められる
- 暗記だけでなく計算力も必要になる
- 過去問とまったく同じ問題はほとんど出題されない
それぞれの理由について、以下で詳しく説明します。
1.幅広い専門知識が求められる
電験三種の勉強に時間がかかる理由として、幅広い専門知識が求められる点が挙げられます。
電験三種は4つの科目(理論・電力・機械・法規)で構成されており、それぞれの科目で高度な専門知識が求められます。
各科目の出題内容は以下のとおりです。
科目名 | 概要 |
---|---|
理論 | 電気に関する基本物性や計測技術に関する理解と分析力を問う |
電力 | 電気エネルギーの生産から流通までの技術的知識とその応用力を問う |
機械 | 電気エネルギーの利用、電気機器に関する技術的知識とその応用力を問う |
法規 | 電気工作物とその保安について、 計画・設計・建設・管理に必要な法令・技術基準 等に関する知識、 およびそれらにもとづく的確な判断力を問う |
これだけ試験範囲が幅広いと短期間の勉強では太刀打ちできません。とくに文系出身者など、電気の知識が0に近い状態だと一から勉強しなければならず、より長い勉強時間が必要です。
電験三種の各科目のうち、理論と機械について詳細を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
2.暗記だけでなく計算力も必要になる
電験三種は、知識を暗記するだけでなく計算力も必要になるため、計算が苦手な人ほど勉強に時間がかかります。
電験三種では文章問題以外に、計算問題も多数出題されます。たとえば理論科目の場合、全体の約8割が以下のような計算問題です。
引用:一般財団法人 電気技術者試験センター「【問題】令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目」
計算問題の対策は公式を暗記するだけでは不十分です。原理や公式を正しく理解したうえで、計算力を高めなければなりません。
計算力は何度も計算練習を反復してはじめて向上します。一朝一夕では身につかないため、根気強く訓練し続けましょう。
3.過去問とまったく同じ問題はほとんど出題されない
電験三種では、過去問とまったく同じ問題はほとんど出題されないことも勉強に時間がかかる理由です。過去問を解いて答えを暗記するだけなどの付け焼刃の対策では、合格が難しいといえます。
たとえば計算問題の場合、毎回問題の数値は異なります。公式を正しく使えないと答えを導き出せません。
ただし、過去問と似た問題が出るときもあるため過去問演習自体は重要です。基礎的な知識・計算力を身につけたうえで、過去問演習で応用力を鍛えましょう。
電験三種の勉強スケジュールを組む3つのポイント
勉強スケジュールを組む際に重要なポイントは以下の3点です。
- レベルに合わせて勉強時間を多めに割り当てる
- 試験日から逆算してスケジュールを立てる
- 科目合格制度を活用し無理のないスケジュールを組む
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
1.レベルに合わせて勉強時間を多めに割り当てる
自分の知識や計算力のレベルに合わせて、勉強時間を多めに確保しましょう。もし学習が思うように進まなくても、時間に余裕があれば焦らず対処できます。
たとえば初学者の場合、途中でトラブルが起こるケースを想定して1,200時間程度の勉強時間を想定しておくと安心です。
電験三種は難易度が非常に高く、学習の途中でつまずくことが多々あります。もしもの事態でも安心できるよう、勉強時間にゆとりをもつことが大切です。
2.試験日から逆算してスケジュールを立てる
試験日から逆算して具体的な学習スケジュールを立てましょう。
電験三種の試験は年に2回実施されます。試験日からスケジュールを逆算するときに重要なポイントは以下の3点です。
- 苦手科目には多めに時間を割く
- 学習の進捗を管理し、必要に応じてスケジュールを調整する
- 生活リズムを考慮する
電験三種合格には、長期間の計画的な学習が必要不可欠です。無計画に勉強しても合格は難しいため注意してください。
3.科目合格制度を活用し無理のないスケジュールを組む
電験三種の勉強スケジュールを組むときは、科目合格制度を活用するのも一つの手です。科目合格制度とは、合格点に達した科目は以後3年間、受験が免除される制度です。
以下のとおり、電験三種の合格率は例年10%前後しかなく、一発で合格するのは至難の業です。
引用:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和 5 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」
しかし科目合格制度を利用すれば、2~3回の試験に分けて合格を目指せます。たとえば1回目の試験では理論と電力のみ、2回目で機械と法規の合格を目指すといった戦略がとれます。
無理のない学習スケジュールを組みたい方は、科目合格制度を活用しましょう。
電験三種に最短の勉強時間で合格する7つのコツ
電験三種に最短の勉強時間で合格するコツは以下の7つです。
- 毎日勉強を継続する
- 理論から勉強する
- 計算力を身につける
- 通信講座を活用する
- 過去問を解く
- YouTubeで情報収集する
- 試験対策コミュニティやイベントに参加する
電験三種は非常に難易度が高いため、短期間で合格するにはコツを押さえた効率的な学習が欠かせません。それぞれのコツについて、以下で詳しく解説します。
1.毎日勉強を継続する
電験三種に最短で合格するために、毎日少しずつでも構わないので勉強時間を確保しましょう。たとえ1日の勉強時間が短くても、毎日継続すれば学力は大幅に向上します。
また学習が習慣化すれば、一時的なモチベーションに左右されず勉強を継続できる点も大きなメリットです。
もし忙しくて時間がなかなか確保できない場合は、休み時間や通勤・通学時間などのスキマ時間を活用してください。
2.理論から勉強する
電験三種の学習を効率的に進めたい場合は、必ず理論から勉強しましょう。
理論は電験三種の土台となる基礎知識が学べる科目です。まず理論を先に理解すれば、他の科目もスムーズに学習できます。
なお、とくにこだわりが無ければ4科目は以下の順番で勉強してください。
- 理論
- 電力(もしくは機械)
- 機械(もしくは電力)
- 法規
電力・機械は理論をマスターすれば理解しやすい科目です。法規は法令や技術基準の暗記がメインの科目なので、後回しでも問題ありません。
3.計算力を身につける
電験三種に最短の勉強時間で合格したい場合は、計算力を身につけましょう。電験三種では計算問題が多数出題されるからです。
計算力を身につけるポイントは以下の3点です。
- 公式をただ暗記するのではなく、意味や使い方を理解する
- 問題の解答だけでなく、計算の過程も合っているか確認する
- さまざまな問題パターンに触れて応用力を鍛える
計算力は一朝一夕で身につきません。試験日から逆算して早めに対策しましょう。
4.通信講座を活用する
より短い学習期間で電験三種に合格したい方は、通信講座を利用するのも一つの手です。通信講座ならお金はかかるものの、カリキュラムと教材が揃っており短期間で合格を目指せます。
以下は電験三種の通信講座の例です。
また、費用をできるだけ安く抑えたい場合は参考書で勉強するのも有効です。電験三種の参考書について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を読んでみてください。
5.過去問を解く
電験三種に必要な知識を効率よく身につけたいなら、過去問をできるだけ多く解きましょう。過去問演習が重要な理由は以下の2つです。
- 出題傾向を把握できる
- 応用力が身につく
過去問は一度だけでなく何度もくり返し解いてください。反復練習するとより理解が深まるからです。
なお、過去問は電気技術者試験センターの公式サイトにて無料で閲覧できます。
参照:一般財団法人 電気技術者試験センター「試験問題・解答」
6.YouTubeで情報収集する
YouTubeで電験三種の情報を収集するのも有効です。
動画だと活字よりも理解しやすく、効率よく学習できます。たとえば以下のような講義形式の動画だと、学校の授業を受けている感覚で頭に入りやすいです。
引用:電験合格「電験三種 電力第1回 水力発電①」
動画なら耳だけで聞けるため、家事などのスキマ時間に学習しやすい点も大きなメリットです。
参考書や問題集での勉強に行き詰った場合は、YouTube動画も有効活用しましょう。
7.試験対策コミュニティやイベントに参加する
電験三種を独学するのが難しい場合は、試験対策コミュニティやイベントに参加してみてはいかがでしょうか。コミュニティやイベントを活用するメリットは以下のとおりです。
- 仲間と切磋琢磨しながら学習できる
- モチベーションを維持しやすい
- 学習方法や疑問点を参加者と共有できる
- 新しい視点や知識を得られる
電験倶楽部でも、参加者同士で一緒に勉強できるイベントや、予想問題を提供しています。興味があればぜひご参加ください。
電験三種に必要な勉強時間を確保して計画的に進めよう
電験三種では幅広い専門知識や計算力が求められます。そのため、合格までに500~1,000時間ほどの勉強時間が必要です。
しかし試験に向けて適切なスケジュールを立て、効率的に学習すれば最短の勉強時間で合格できます。本記事で紹介した情報を参考に、自分に合った学習方法で電験三種の合格を目指しましょう。
なお全電協株式会社では、電験三種を取得した電気主任技術者を募集中です。電験三種合格後の就職先として、ぜひ弊社をご検討ください。