電験三種は独学でも合格できる!
結論として、電験三種は独学でも合格できます。以下のように、独学で電験三種に合格した事例もあります。
参照:ma-ruの勉強部屋「文系が独学で電験3種合格した勉強方法と勉強時間」
ただし電験三種は国家資格の中でもとくに難易度が高く、合格率は10%程度しかありません。
引用:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和 5 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」
独学で合格するには、コツを押さえた効率的な学習が必要です。
電験三種が「独学では無理」と言われる2つの理由
電験三種合格が「独学では無理」とよく言われる理由は下記の2つです。
- 試験範囲が広い
- 長期的に学習時間の確保が必要
以下で詳しく解説します。
試験範囲が広い
電験三種は試験範囲が非常に広いです。
以下のとおり、試験は理論・電力・機械・法規の4科目に分かれており、それぞれの科目で高度な専門知識が求められます。
科目名 | 概要 |
---|---|
理論 | 電気に関する基本物性や計測技術に関する理解と分析力を問う |
電力 | 電気エネルギーの生産から流通までの技術的知識とその応用力を問う |
機械 | 電気エネルギーの利用、電気機器に関する技術的知識とその応用力を問う |
法規 | 電気工作物とその保安について、計画・設計・建設・管理に 必要な法令・技術基準 等に関する知識、およびそれらにもとづく的確な判断力を問う |
さらに試験では知識問題だけでなく、計算問題も多数出題されます。知識の暗記から計算練習まで、すべて自分で一から対策するのはかなりハードルが高いです。
なお電験三種の各科目のうち、理論と機械の詳細を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
長期的に学習時間の確保が必要
電験三種に合格できるレベルの知識や計算力を習得するには、長期的に学習し続けなければなりません。参考として、合格までに必要な学習時間の目安は以下のとおりです。
- 初学者の場合は約1,000時間
- 基礎知識がある場合は約500時間
長期的な学習時間を一人で管理するのは難しく、多くの方が途中で挫折します。そのため、電験三種は独学できないと言われがちです。
なお、電験三種の勉強時間について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
電験三種を独学する2つのメリット
電験三種を独学するメリットは下記の2点です。
- 費用が抑えられる
- 自分のペースで学習できる
以下で詳しく解説します。
1.費用が抑えられる
独学はほとんど費用がかかりません。
たとえば電験三種の通信講座を受講する場合、数万~数十万円が必要です。
一方独学だと、基本的に無料で学習できます。たとえば電験三種に関するWebサイトやYouTube動画を活用すれば、費用は一切かかりません。
参考書や問題集の購入には多少の出費が必要ですが、それでも数千円ほどの費用で済みます。
金銭的に余裕が無い方にとっては、費用が安く抑えられるのは大きなメリットです。
2.自分のペースで学習できる
独学は自分のペースで学習できます。
たとえば電気系の専門学校で教わる場合、決められたカリキュラムに沿って学習しなければなりません。また、授業も指定の時間・場所で受ける必要があります。
一方独学なら学習計画を自分で立てられ、好きな時間・場所で勉強できます。マイペースな方にとっては、誰にも縛られず自由に学習できる点が大きなメリットです。
電験三種を独学する4つのデメリット
電験三種を独学するデメリットは下記の4つです。
- スケジュール管理が難しい
- 学習効率が悪い
- 誰からもアドバイスをもらえない
- モチベーションを維持しにくい
それぞれのデメリットについて、以下で詳しく説明します。
1.スケジュール管理が難しい
電験三種を独学するには高いスケジュール管理能力が必要です。
電験三種は試験範囲が広いため、スケジュールを立てて計画的に学習しなければなりません。しかし独学では学習の進捗状況を客観的に判断しにくく、スケジュール通りに進まない可能性があります。
スケジュール管理が苦手な方は、通信講座で決まったカリキュラムに沿って学習するのも一つの手です。
2.学習効率が悪い
独学は学習効率が下がりやすいです。
独学の場合、情報収集はすべて自分一人で行います。インターネットや参考書などの膨大な情報量から、必要な情報だけをピックアップするのは非常に難しいです。
短期間で効率よく電験三種の合格を目指すなら、通信講座を利用するのも有効です。カリキュラムに沿って学習するだけで、合格までの最短ルートをたどれます。
3.誰にも相談できない
独学の場合、電験三種に関する疑問や不安を誰にも相談できません。
電験三種の勉強をしていると疑問点が出たり、学習の方向性を見失ったりすることが多々あります。独学だと途中でつまずいても誰からも指摘されず、無駄な時間を過ごすリスクがあります。
独学で電験三種合格を目指すなら、わからないことを自分でリサーチして解決する能力が必要不可欠です。相談相手がいないと不安な場合は、専属の講師がつく通信講座や専門学校などの利用も検討しましょう。
4.モチベーションを維持しにくい
独学の大きな壁として、モチベーション維持の難しさが挙げられます。
電験三種に合格するためには、500~1,000時間程度の学習時間が必要です。たった一人で長期間モチベーションを保ち続けるのは困難であり、多くの人が途中で挫折します。
一人ではどうしてもモチベーションが保てない場合は、SNSやコミュニティで勉強仲間を探すのも一つの手です。一緒に切磋琢磨できる仲間がいれば、それだけで大きな励みになります。
電験三種を独学する5つの方法
電験三種を独学する方法は下記の5つです。
- 過去問を解く
- Webサイトで学習する
- 参考書で学習する
- YouTube動画を視聴する
- 試験対策コミュニティやイベントに参加する
以下で詳しく解説します。
1.過去問を解く
独学で電験三種合格を目指すなら、過去問演習は必ず実施しましょう。過去問を解くメリットは以下のとおりです。
- 無料で学習できる
- 出題傾向をつかめる
- 計算練習ができる
過去問は何度もくり返し解くことが重要です。基礎知識を身につけた後に過去問を解けば、より理解を深められます。
なお、電験三種の過去問は電気技術者試験センターの公式サイトにて無料で閲覧可能です。
参照:一般財団法人 電気技術者試験センター「試験問題・解答」
2.Webサイトで学習する
電験三種を独学するときは、Webサイトもうまく活用しましょう。Webサイトで学習するメリットは以下の3点です。
- 無料で学習できる
- 要点がまとまっている
- スマホでいつでも学習できる
Webサイトは重要なポイントが端的にまとまっており、大まかな知識を身につけるのに有効です。Webサイトで基礎知識をインプットしてから過去問や練習問題を解くと、効率よく理解が深まります。
ただし、Webサイト上の情報はすべて正しいとは限りません。中には誤った情報も混ざっているため、複数のWebサイトを閲覧して情報に食い違いが無いかチェックしてください。
3.参考書で学習する
電験三種に独学で合格したいなら、参考書を最低でも1冊は用意しましょう。参考書で勉強するメリットは下記のとおりです。
- 必要な知識が体系的にまとめられている
- 図解やイラストがありわかりやすい
- 練習問題が載っている
参考書には電験三種の必要知識がほぼすべて載っています。何度もくり返し読んで理解を深めてください。
参考書は図解やイラスト付きのわかりやすいものを選びましょう。練習問題が載っていると、応用力も鍛えられるためより望ましいです。
電験三種の参考書についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。
4.YouTube動画を視聴する
電験三種を独学するなら、YouTube動画も積極的に活用しましょう。YouTube動画で学習するメリットは下記の4点です。
- 無料で学習できる
- スマホでいつでも視聴できる
- 要点がまとまっている
- 活字よりも頭に入りやすい
YouTube動画の大きな強みとして、活字よりも頭に入りやすい点が挙げられます。たとえば『電験合格』さんのYouTubeチャンネルでは、学校の授業を聴いている感覚で電験三種の重要ポイントを学習可能です。
さらにYouTube動画はスマホでいつでも視聴できます。家事や通勤などのスキマ時間も利用して知識をインプットしましょう。
ただし、YouTube動画だけでは計算力や応用力は鍛えられません。過去問や練習問題などの実践的な対策も忘れないでください。
5.試験対策コミュニティやイベントに参加する
電験三種を独学するのが精神的にキツいと感じる場合は、試験対策コミュニティやイベントに参加してみてはいかがでしょうか。コミュニティやイベントのメリットは以下のとおりです。
- 仲間と切磋琢磨しながら学習できる
- モチベーションを維持しやすい
- 学習方法や疑問点を参加者と共有できる
- 新しい視点や知識を得られる
たった一人で長期間モチベーションを保ち続けるのは大変です。いつでも気軽に相談できる仲間がいれば、安心して勉強に取り組めます。
なお、電験倶楽部でも、参加者同士で一緒に勉強できるイベントや、予想問題を提供しています。興味があればぜひご参加ください。
電験三種を独学するときの3つのコツ
電験三種を独学するときのコツは下記の3点です。
- スケジュールを立てて計画的に学習する
- 学習を毎日継続する
- 理論から学習を始める
以下で詳しく解説します。
1.スケジュールを立てて計画的に学習する
電験三種の学習を始める前に、まずは試験日から逆算してスケジュールを立てましょう。合格するためには長期間の計画的な学習が必要不可欠です。
スケジュールを立てる際は、以下の3点を心がけてください。
- 苦手科目には多めに学習時間を割く
- 学習の達成度を記録し、必要に応じてスケジュールを調整する
- 健康的な生活を送るために、生活リズムを考慮して計画を立てる
また、電験三種には科目合格制度があります。科目合格制度とは、一度合格した科目は以後3年間、受験が免除される制度です。
科目合格制度を活用し、2~3年かけて合格を狙うのも一つの手です。
2.学習を毎日継続する
少しずつでも構わないので学習を毎日継続しましょう。
たとえ1日の勉強時間が短くても、毎日コツコツ継続すれば学力は大きく向上します。毎日継続すると勉強が習慣化され、モチベーションに左右されにくくなる点もメリットです。
1日の中でまとまった時間がとりにくい場合は、休み時間や通勤時間などのスキマ時間を有効活用しましょう。
理論から学習を始める
電験三種は必ず理論から学習を始めましょう。
理論は電験三種全科目の土台となる基礎知識が学べる科目です。理論をマスターすれば、他の科目もスムーズに理解できます。
なお、とくにこだわりが無い場合は以下の順番で学習してください。
- 理論
- 電力(もしくは機械)
- 機械(もしくは電力)
- 法規
電力・機械は理論を理解していればスムーズに学習できる科目です。法規は法令や技術基準などの暗記が中心の科目であり、後回しでも問題ありません。
電験三種の科目別学習ポイント
電験三種の4科目(理論・電力・機械・法規)それぞれを学習するときのポイントは、下表のとおりです。
科目名 | 出題の特徴 | 学習ポイント |
---|---|---|
理論 | ・電気に関する基礎的な問題が出題される ・計算問題が全体の8割を占める | 公式を正しく理解し、 計算練習を何度もくり返す |
電力 | ・電気エネルギーの生産・流通に関する文章問題や、 電力計算の問題が出題される ・文章問題が全体の5~6割、計算問題が4~5割を 占める | 暗記・計算どちらも バランスよく注力する |
機械 | ・4機(直流機、変圧器、誘導機、同期機)に 関する問題が全体の半分を占める ・文章問題と計算問題が半々の割合で出題される | 頻出分野を重点的に対策する |
法規 | ・電気事業法や電気設備の技術基準などに 関する問題が出題される ・文章問題が全体の6割、計算問題が4割を 占める | 法令や技術基準を徹底的に暗記する |
科目によって出題傾向が大きく異なるため、しっかりと対策しましょう。
電験三種の理論および機械の学習ポイントについて、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
電験三種の独学が難しい場合は通信講座の受講も一つの方法
電験三種の独学が難しいと感じる場合は、通信講座を受講しましょう。通信講座を利用するメリットは以下のとおりです。
- カリキュラムに沿って効率的に勉強できる
- 講師に質問・相談できる
- モチベーションを維持しやすい
ただし、通信講座を受講するには数万円~数十万円かかります。高い受講料を払い、生活に支障をきたさないよう注意してください。
以下は電験三種の通信講座の例です。
電験三種は独学でも合格できる!コツを押さえて学習しよう
電験三種は難易度が高い資格ですが、独学でも合格できる資格です。ただし電験三種の独学はメリット・デメリットがあることから、科目別の重要ポイントを把握し、効率よく学習していきましょう。
独学方法としては、過去問・Webサイト・参考書・YouTube・コミュニティなどがあります。これらを活用し、無理のないスケジュールを立て、毎日学習を継続することが重要です。今回紹介した学習方法やコツを参考に、さっそく試験に向けて対策しましょう。
なお全電協株式会社では、電気主任技術者として一緒に働ける方を募集中です。電験三種合格後の就職先として興味がある方は、ぜひ一度弊社にお問い合わせください。