電験三種取得者の仕事内容2選
電験三種取得者の仕事内容は以下の2つです。
- 電気設備の業務
- 電気工事の保安・監督業務
電験三種を取得していれば、電圧5万ボルト未満の電気設備の工事や、維持および運用の保安・監督業務に従事できます。ビルやマンションなどの建物が5万ボルト以下のため、大抵の建物は電験三種を取得していれば対応可能です。
1.電気設備の業務
電験三種取得者の仕事内容には、電気設備の業務があります。たとえば以下のような電気設備の業務が該当します。
業務の種類 | 業務内容 |
---|---|
電気設備の点検 | ・電気設備の年次点検や月次点検をおこなう ・電流値や電圧計の計測・記録など |
電気設備の故障対応 | 電気設備が故障した際、電気工事士による修理作業の立ち会い・監督をおこなう |
電気設備の周辺の清掃 | 配線のショートなどの重大な事故を防ぐために電気設備のほこりやゴミを清掃する |
電気設備が正常に稼働するように点検や清掃、故障対応をすることも、電気主任技術者の仕事の一つです。
2.電気工事の保安・監督業務
電験三種取得者は、電気工事の保安・監督業務をおこないます。電験三種を取得していると、現場監督の役割を担うことが多いです。
電気設備の保安業務は、電気主任技術者の独占業務に該当します。電気設備の保安・監督業務はだれでもできるわけではなく、電験三種の有資格者しか従事できません。
国家試験に合格した電気主任技術者が電気設備を適切に運用するよう、法律で定められているためです。電気工事士の業務が完了したら、計画・指示どおりできているか、動作が正常かどうか確認をおこないます。
電験三種を保有していれば、多くの建物における電気主任技術者の役目を担えます。
電験三種取得者の仕事の1日の流れ
電験三種取得者の仕事の1日の流れは以下のとおりです。
【例1】
電験三種取得者の仕事の1日の流れ | |
---|---|
8時 | 出社・朝礼。作業内容を確認 |
9時 | 工場内の電気設備の点検・保守 |
12時 | 休憩 |
13時 | 工場内の各施設の電気使用量の確認 |
16時 | 電気工事部の会議 |
17時 | 退社 |
【例2】
電験三種取得者の仕事の1日の流れ | |
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9時 | 出社・朝礼。前日の成果の報告と、本日の予定を共有 |
10時 | 電圧値・電流値・電力メーターなどの点検業務 |
12時 | 休憩 |
13時 | 太陽光パネルの異常検知を自動化できる機械の導入準備 |
15時 | 電力会社との打ち合わせ |
16時 | 翌月の保安監理計画書の作成 |
18時 | 退社 |
電験三種取得者の仕事は、自身が現場に赴き電気設備の点検や整備をすることが主な業務です。また電気工事士の作業を監督する場合もあるため、現場での作業が多い傾向にあります。
現場での作業が終わった後は、会議や作業報告書の作成など、デスクワークをおこなうケースも珍しくありません。
しかし実際の1日の流れは、勤務先・業務内容によって異なります。求人を見たり直接会社に連絡を取ったりして、詳しい勤務内容や勤務時間を確認してください。
電験三種取得者が仕事で活躍できる業界・就職先
電験三種取得者が仕事で活躍できる業界・就職先は以下のとおりです。
業界 | 就職先の例 |
---|---|
電気保安業界 | ・電気保安会社・電気設備会社 |
ビルメンテナンス業界 | ・ビル管理会社 |
プラント業界 | ・EPC(元請け企業)・サブコン(下請け企業)・工事会社・各種メーカー |
建設業界 | ・建設会社 |
インフラ業界 | ・ガス会社・浄水場 |
再生可能エネルギー業界 | ・太陽光発電所 |
電験三種の資格は、幅広い業界で需要があります。大手企業やメガバンクのグループ会社なども求人を出しているため、就職に有利な資格です。
インフラ業界は規模が大きいため、電験二種や一種が必要な業務が多いです。しかし採用後に育成する企業もあり、電験三種の有資格者の求人を出しているケースも珍しくありません。
また電気関連の仕事が未経験でも、電験三種を取得していれば応募できる求人も多いです。電験三種を取得することで、電気関連に限らずさまざまな業界で活躍できます。
電気主任技術者と電気工事士の違い
電気主任技術者と電気工事士の違いは以下のとおりです。
電気主任技術者 | 電気設備の保安監督業務を担う |
---|---|
電気工事士 | 電気設備に関する工事・作業をおこなう |
電気主任技術者は、電気工事士に作業を指示する立場です。1日の計画や作業内容を伝え、業務が完了したら動作が正常かどうかを確認します。
一方電気工事士は、電気設備の工事や点検など、実際に作業する人のことです。電気主任技術者の指示に従い作業をおこないます。
それぞれ同じ電気を扱う職種ですが、仕事内容が異なるため、資格取得を目指す際は間違えないように注意が必要です。
電験三種の資格を取得する2つの方法
電験三種の資格を取得する方法は以下の2つです。
- 電験三種の試験に合格する
- 認定校を卒業して実務経験を積む
電験三種の資格取得の難易度は高いため、合格するためにはきちんと対策しなければなりません。
1.電験三種の試験に合格する
電験三種の資格を取得するには、試験を受験して合格する必要があります。試験は経験者・未経験者問わず誰でも受験可能です。
試験にて出題される以下の4科目のすべてに合格すると、電験三種を取得できます。
- 理論
- 電力
- 機械
- 法規
電験三種の資格取得の難易度は高く、毎年合格率は10%前後です。出題範囲が広く、試験の全体像をつかんで対策するのが難しい試験です。
電験三種には科目合格制度が設けられていますが、4科目すべてを3年以内に合格しなければなりません。約1,000時間の勉強時間が必要だと言われており、1年ほどの時間をかけて学習に取り組む必要があります。
電験倶楽部では、電験三種の試験対策イベントの実施と予想問題を提供中です。予想問題を解くことでより実践的な対策ができるため、効率的に対策を進められます。電験三種の試験合格を目指す方は、ぜひ参加をご検討ください。
なお電験三種の勉強時間については、以下の記事で詳しく解説しています。
2.認定校を卒業して実務経験を積む
認定校を卒業して実務経験を所定の期間積むことで、電験三種の資格を取得可能です。大学、短大・専門学校、工業高校などの「電気主任技術者認定校」を卒業する必要があります。
また卒業した後に、指定の業務に一定期間従事しなければなりません。具体的には「電圧500ボルト以上の電気工作物の維持、工事または運用」の実務経験が必要です。
たとえば、以下の配線工事や検査業務が当てはまります。
- 発電設備
- 変電設備
- 送配電設備
- 需要設備
実務経験の期間は、以下のように卒業した認定校によって異なるので注意しましょう。
大学卒業 | 1年以上 |
---|---|
短大・専門学校卒業 | 2年以上 |
工業高校卒業 | 3年以上 |
実務経験を積んだ後に、産業保安監督部に必要書類を送付して審査に通過することで、電験三種の資格を交付してもらえます。
なお、電験三種の資格取得方法は以下の記事で詳しく解説しています。
電験三種を取得する仕事上の3つのメリット
電験三種の資格を取得する仕事上のメリットは以下の3つです。
- 年収がアップする
- 電験三種の資格保有者を求める求人が多い
- 将来性がある
これから電験三種の資格を取得したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.年収がアップする
電験三種の資格を取得すれば、年収がアップする可能性が高いです。電気主任技術者は、現場を監督する立場になるためです。
以下のように電気主任技術者と電気工事士では、年収が異なります。
電気主任技術者の平均年収 | 約435万円 |
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電気工事士の平均年収 | 約420万円 |
「日本での電気主任技術者の給与」
「日本での電気工事スタッフの給与」
※2024年5月15日時点の情報
電気工事士と比べて、電気主任技術者のほうが15万円ほど年収が高いです。高い専門知識が必要で責任が重くなるポジションを任せられる資格だからこそ、給与が高くなりやすい傾向にあります。
2.電験三種の資格保有者を求める求人が多い
電験三種を取得する仕事上のメリットは、資格保有者を求める求人が多いことです。
企業は、電験三種の資格をもつ人がいないと作業ができない現場があるため、資格保有者を求めています。
また業界内では、電験三種の資格をもつ人は貴重な存在です。未経験でも資格を持っている場合、正社員で雇用する求人もあります。
たとえば、全電協株式会社では、3年以上の実務経験のある人や、実務経験は無いが有資格者の電気主任技術者を募集中です。未経験でも社内業務をとおして電気関連の知識やスキルが身につきます。
電験三種の資格を取得した際には、ぜひ応募をご検討ください。
3.将来性がある
電験三種の資格は、需要が高く将来性があります。近年では、オール電化の普及やメガソーラーなどの発電設備が増加傾向にあるためです。
経済産業省の発表している「電気保安人材の現状分析と取組の方向性について」の情報によると、第三種電気主任技術者による監督が必要な再生エネルギー設備は、2021年〜2030年の間に年間約2,000件のペースで増加する見込みであると発表しています。
これにより、将来的に第三種電気主任技術者が不足する可能性があるとしているのです。
また資格保有者の高齢化で退職者が増加しており、これから先は電験三種を取得している人材が不足する可能性が高いです。
貴重な人材として重宝されるため、業界内での需要が増えていきます。電験三種を取得していれば、企業から求められる人材になれる可能性が高いです。
参照:経済産業省「電気保安人材の現状分析と 取組の方向性について」
電験三種の仕事の求人についてよくある質問
電験三種の仕事の求人についてよくある質問は以下のとおりです。
- 電験三種の資格を取得するとどんな求人に応募できるの?
- 電気関連の仕事が未経験でも雇ってくれる求人はあるの?
電験三種の資格を取得するとどんな求人に応募できるの?
電験三種の資格を取得すると「電圧5万ボルト未満の電気工作物」の保安・監督する仕事に応募可能です。しかし出力5000キロワット以上の発電所を除きます。
たとえば、以下の電気設備の保安・監督をおこなう仕事が該当します。
- 中小規模の工場や建設現場
- 太陽光発電所
- 商業施設
- 病院
電験三種の資格があれば、電気工事を請け負う企業や電力会社における電気関連の仕事に従事できます。工場や建設会社、ビルメンテナンス会社など、さまざまな業界で活躍できる資格です。
電気関連の仕事が未経験でも雇ってくれる求人はあるの?
電験三種を取得していれば、実務経験がなくても雇ってくれる求人はあります。
電験三種は経験者・未経験者関係なく受験できるため、実務経験が無い有資格者が出てきます。
電験三種の有資格者は業界内で貴重なため、実務経験が無くても雇ってくれる求人は多いです。たとえば、全電協株式会社では有資格者の電気主任技術者を募集しています。
実務経験が無い方でも、社内業務を通じて電気に関する知識やスキルが身につけられます。数多くの電気主任技術者を正社員として採用している民間の電気保安法人です。
電験三種を取得した際は、全電協株式会社への応募をぜひご検討ください。
電験三種の資格を取得して仕事の選択肢を増やそう
電験三種の資格を取得していれば、電気関連の仕事以外にも建設会社やビルメンテナンス会社など、さまざまな仕事に従事できます。電験三種の資格取得の難易度は高く、有資格者は業界内で貴重な人材です。
資格取得者がいないと作業ができない現場があるため、電気関連の仕事が未経験でも有資格者を求めている企業は多いです。全電協株式会社は、有資格者の電気主任技術者を募集しています。民間の電気保安法人として、電気主任技術者を正社員で採用している企業です。
電気関連の仕事が未経験でも、社内業務を通じて電気に関する実務経験を積めます。電験三種の資格取得者は、ぜひ応募をご検討ください。