
電験三種の免状の取得方法・条件

電験三種の免状を取得する方法・条件は以下の2つです。
- 電験三種の試験に合格する
- 認定校を卒業して実務経験を積む
1.電験三種の試験に合格する
電験三種の免状は、試験に合格すれば取得可能です。免状を取得するためには、試験にて出題される以下の4科目のすべてに合格する必要があります。
科目 | 出題される内容 |
---|---|
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測および電子計測について |
電力 | 発電、変電、送電、配電など電力系統に関すること |
機械 | 電力機械と電力応用について |
法規 | 電気事業法や電気工事士法、電気設備に関する法律について |
試験は経験者・未経験者問わず誰でも受験できます。受験方法は筆記方式、CBT方式の2種類です。
受験の申し込みは原則インターネットでおこないます。書面申込みを希望する場合は、試験センター本部事務局に問い合わせが必要です。
また以下のように、申し込み方法によって受験手数料が異なるので注意しましょう。
インターネットによる申し込み | 7,700円 |
---|---|
書面による申し込み | 8,100円 |
電験三種の試験は、2022年以降から上期と下期の年に2回受けられるようになりました。社会人が電験三種の免状を取得するなら、一般的に試験合格を目指すことが多いです。
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「受験申込方法・受験案内」
2.認定校を卒業して実務経験を積む
認定校を卒業して実務経験を積むことで、電験三種の免状を受け取れます。大学、短大・専門学校、工業高校などの「電気主任技術者認定校」を卒業し、さらに指定の業務に一定期間携わらなければなりません。
具体的には「電圧500ボルト以上の電気工作物の維持、工事または運用」の業務に従事した実務経験が必要です。たとえば、以下の配線工事や検査業務が当てはまります。
- 発電設備
- 変電設備
- 送配電設備
- 需要設備
なお、実務経験の期間は卒業した認定校によって異なるので注意しましょう。
大学卒業 | 1年以上 |
---|---|
短大・専門学校卒業 | 2年以上 |
工業高校卒業 | 3年以上 |
実務経験を積んだ後、産業保安監督部に必要書類を送付して審査に通過することで、電験三種を取得できます。

【取得方法別】電験三種の免状交付までの流れ・申請方法

以下の取得方法別に、電験三種の免状交付までの流れ・申請方法を解説します。
- 試験に合格して免状を取得する場合
- 認定校の卒業と実務経験により免状を取得する場合
試験に合格して免状を取得する場合
電験三種の試験を受験する場合の免状交付までの流れは以下のとおりです。
- 試験の対策を行う
- 試験を受ける
- 免状交付申請を提出する
電験三種を受験して合格した場合、一般財団法人電気技術者試験センターから郵送で以下の書類が届きます。
- 試験結果通知書
- 免状交付申請書
- 免状交付申請要領
免状交付申請書に必要事項を記入して、一般財団法人電気技術者試験センターへ送付します。
交付されるまでの所要時間は、申請からおよそ2ヶ月です。免状を交付するためには、交付手数料が2,350円かかります。
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「電気主任技術者の免状交付」
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「試験に関するQ&A」
認定校の卒業と実務経験により免状を取得する場合
認定申請で免状を取得する場合の流れは以下のとおりです。
- 認定校を卒業する
- 実務経験を積む
- 産業保安部監督部に申請する
認定により免状を交付するためには、電気事業法の規定に基づく電気主任技術者認定校の卒業が必須です。
認定校では、電験三種の認定申請に必要な科目を学習できます。電力・機械・法規のいずれかの科目で不足している単位がある場合、該当科目のみ試験を受けて合格すれば、学歴要件を満たせます。
しかし試験合格で補完できるのは電力、機械、法規のいずれか1科目か、電力と法規、機械と法規の場合だけです。電力と機械の単位が足りていないケースでは、試験を受けられないことに注意しましょう。
また前述のとおり、認定校の種類によって実務経験の必要年数が異なります。
大学卒業 | 1年以上 |
---|---|
短大・専門学校卒業 | 2年以上 |
工業高校卒業 | 3年以上 |
学歴要件を満たせたら、経済産業省の産業保安監督部に必要書類を提出します。また住所・氏名・合格年度などの記載と、収入印紙6,600円分を貼り付けなければなりません。
書類を提出した後に、産業保安監督部の面接に通過し、審査に合格すると電験三種を取得できます。

【取得方法別】電験三種の免状交付に必要な書類の作成方法

以下の取得方法別に、電験三種の免状交付に必要な書類の作成方法を解説します。
- 試験に合格して免状を取得する場合
- 認定校の卒業と実務経験により免状を取得する場合
試験に合格して免状を取得する場合
電験三種の試験合格による免状申請の必要書類は以下のとおりです。
- 主任技術者免状交付申請書
- 試験結果通知書
- 戸籍謄本もしくは住民票(本籍が記載されているもの)
- 振替払込受付証明書
上記の必要書類と一緒に交付手数料が2,350円かかります。
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「電気主任技術者の免状交付」
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「試験に関するQ&A」
認定校の卒業と実務経験により免状を取得する場合
以下に該当する人は、交付申請に必要な書類を作成することで免状を取得可能です。
- 経済産業大臣が認定した認定校で既定の科目を取得した卒業者
- 旧電気主任技術者資格認定規則による認定校卒業者
- 免状を交付されているもの(旧規則による検定合格者を含む)
免状交付申請の必要書類は、申請者の学歴あるいは資格により、以下のものが各一部ずつ必要です。
必要書類 | 対象者 |
---|---|
主任技術者免状交付申請書 | すべての対象者 |
卒業証明書 | 認定校を卒業しているもの |
単位取得証明書もしくはこれに代わる書類 | 経済産業大臣が認定した認定校で既定の科目を取得した卒業者 |
電気主任技術者免状または合格書のコピー | 免状を交付されているもの |
実務経歴証明書 | すべての対象者 |
戸籍謄本もしくは住民票(本籍が記載されているもの) | すべての対象者 |
免状送付用宛先用紙 | すべての対象者 |
必要書類が揃ったら、最寄りの産業保安部監督部・支部・監督署に提出します。提出した後に産業保安監督部の面接を受けて、審査をクリアすれば免状を取得できます。
参照:関東東北産業保安監督部東北支部「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

【取得方法別】電験三種の免状取得のメリット・デメリット

以下の取得方法別に、電験三種の免状取得のメリット・デメリットを解説します。
- 試験に合格して免状を取得する場合
- 認定校の卒業と実務経験により免状を取得する場合
試験に合格して免状を取得する場合
試験に合格して免状を取得するメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・未経験でも資格を取得できる ・実務経験なしで資格を取得できる ・科目別合格による資格取得を目指せる | ・試験合格の難易度が高い ・試験範囲が広い |
電験三種の試験は、経験者・未経験者問わず誰でも受験できるため、合格すれば電気関連の業務未経験でも資格を取得可能です。科目合格制度があるため、一度合格した科目は次回の試験では免除されます。
たとえば理論、電力、機械に合格して法規に落ちた場合、次の試験では法規だけ受験して合格すれば、電験三種を取得できます。
一方で電験三種の試験合格率は10%前後となっており、合格率が低いのが実情です。試験範囲が広く対策が大変で、1000時間程度の勉強時間を確保する必要があります。
効率的に勉強しなければ、モチベーションが下がり挫折する可能性が高いです。
電験倶楽部では、ともに勉強できる試験対策イベント実施と予想問題を提供しています。予想問題を解くことで、より実践的な対策が可能です。電験三種の試験を受けようと考えている方は、ぜひイベントにご参加ください。
電験三種の勉強時間と合格点について以下の記事で詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。
認定校の卒業と実務経験により免状を取得する場合
電験三種の免状を認定によって取得するメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・受験する必要が無い ・認定校を卒業していれば実務経験と審査のみで資格を取得できる ・認定校で電気に関することを体系的に学べる | ・認定校に通う必要があるため社会人にはハードルが高い ・認定校に通う学費が必要になる ・免状を取得するまでに時間がかかる。 |
認定校を卒業していれば実務経験と審査だけで免状を交付してもらえる点が大きなメリットです。認定校に通うことで電気に関することを深く学べるため、実務経験にも役立ちます。
一方で認定校へ通うには、学費が必要になるデメリットがあります。すでに働いている社会人は、仕事と並行で認定校に通うことが難しいのが実情です。
また認定校卒業+実務経験が必要になるため、免状を取得するまでに時間がかかります。社会人で電験三種の取得を考えている人は、試験合格による取得を目指すのがおすすめです。

電験三種の免状は再発行できる

電験三種の免状は再発行できます。最寄りの産業保安監督部に以下の必要書類を送付することで、再発行の申請が可能です。
- 申請書
- 免状交付用宛先
- 免状(紛失以外の場合)
主任技術者免状は永久的資格証明で、一度交付されれば免状の書き換えや更新などの手続きは必要ありません。ただし、免状の汚れもしくは紛失した場合は再交付の申請が可能です。
汚れ・破れにより再発行する場合は、汚損した免状も申請書と一緒に添付しましょう。申請書には2,600円の収入印紙を貼りつける必要があります。
また免状の内容(本籍もしくは氏名)に変更がある際は、戸籍抄本を添付し、変更前の事項をカッコ書きで併記しなければなりません。
紛失で免状の番号または免状の交付年月日がわからない場合、欄外に鉛筆書きで取得年度や取得方法をできるだけ詳しく記入します。文字の訂正は訂正印を押しておこないましょう。
参照:関東東北産業保安監督部東北支部「電気主任技術者免状の再交付手続きについて」

電験三種の免状に関してよくある質問

電験三種の免状に関してよくある以下の質問を解説します。
- 電験三種の免状取得申請はいつまで?
- 電験三種の免状取得には実務経験が必要?
電験三種の免状交付申請書の提出はいつまで?
電験三種に合格した場合、試験結果通知書とともに届く免状交付申請書には提出期限が設けられていません。ただし、免状交付申請書の送付から免状交付まで2ヶ月程度かかるため、早めに提出すると安心です。
免状交付申請には試験結果通知書が必要であるため、自宅に届いたら紛失しないうちに申請することをおすすめします。
試験結果通知書を紛失した場合は、再発行の手続きが必要です。試験結果通知書の再発行は、再発行申請書の受理から1ヶ月程度かかるため、紛失しないように注意しましょう。
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「電気主任技術者の免状交付」
電験三種の免状取得には実務経験が必要?
認定校での所定の単位取得と実務経験による免状取得の場合は、実務経験が必要です。試験合格により免状を取得する場合は、実務経験が必要ありません。
免状の取得方法により実務経験の必要性が異なるため、自分の状況に応じて判断しましょう。

正しい方法で電験三種の免状を取得しよう

電験三種の免状を取得する方法・条件は以下の2種類です。
- 電験三種の試験に合格する
- 認定校を卒業して実務経験を積む
社会人から電験三種の取得を目指す人は、認定校を卒業して実務経験を積むのはハードルが高いです。仕事を休職して認定校に通うことも考えなければなりません。
試験に合格して資格取得を目指すのがおすすめです。自分の状況に応じて、免状を交付する方法を選びましょう。
電験三種は永久証明資格となるため、一度免状の交付を受けると書き換えや更新などの手続きは必要ありません。
電験三種の免状の交付を受けた際には、ぜひ全電協株式会社への入社をご検討ください。
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