電験三種の勉強方法は主に3つある
電験三種を勉強する方法は、以下の3つです。
- 独学
- 専門学校などに通学する
- 通信講座を受講する
独学の場合は、自分で参考書や問題集を手配し、自分のペースで勉強を進められます。勉強にかかる費用は書籍代のみであり、授業料は発生しません。
次に専門学校などに通学する場合は、学校が指定するスケジュールに沿った勉強が可能です。勉強にかかる費用として授業料や教科書代、交通費などが発生します。
そして通信講座の場合は、動画や指定の教材を活用して、自宅で勉強を進められます。勉強にかかる費用は受講料や教材代のみであり、自分の好きな時間・好きな場所で勉強が可能です。
効率的に電験三種の勉強を進めるには、それぞれの知識レベルに合わせた勉強方法を取り入れるのがおすすめです。知識レベル別の勉強方法について、のちほど詳しく解説します。
【初心者・文系出身者向け】電験三種の勉強方法
初心者・文系出身者向けの電験三種の勉強方法は、以下の3つです。
- 通学もしくは通信講座を受講する
- 独学する場合は初心者向けの参考書で基礎を固める
- 余裕のある勉強スケジュールを組む
それぞれの勉強方法について詳しく解説します。
通学もしくは通信講座を受講する
電気に関する知識がまったく無い初心者・文系出身者の場合は、通学もしくは通信講座を受講するのがおすすめです。
電気技術者試験センターの資料によると、電験三種の合格率は受験者の約8〜16%であると公表されています。電験三種では電気の知識や数式などを用いた問題が多く、出題される問題の難易度が高いからです。
通学もしくは通信講座を受講し、電験の知識がある講師からのサポートを受けられると、スムーズに勉強を進められます。もし近隣に通学できる学校がなければ、オンラインでサポートを受けられる通信講座を受講するのがおすすめです。
また、数学のみに苦手意識があれば、数学に特化した通信講座や講習会を受講する方法もあります。自分が勉強しやすい方法で、電験三種の知識を習得しましょう。
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和 5 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」
独学する場合は初心者向けの参考書で基礎を固める
初心者・文系出身者の方が電験三種を独学で勉強する場合は、初心者向けにわかりやすく解説された参考書で勉強しましょう。
参考書に「初心者・誰でもわかる」などが記載されているものであれば、難しい単語や仕組みなどがわかりやすく解説されていて理解しやすいです。もし計算問題が苦手な場合は、計算問題に特化した参考書を購入することで、複雑な計算式も理解できます。
また、効率よく勉強するなら、4科目(理論・電力・機械・法規)をまんべんなく学習しましょう。ただし、理論と機械は苦手意識をもつ人が多いため、時間配分を多めに考慮するとよいです。
勉強時間の配分として、以下の黄金比を参考にしてください。
電験三種の勉強時間の黄金比 | 理論:電力:機械:法規=2:1:2:1 |
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なお、初心者におすすめの電験三種参考書について以下の記事に詳しくまとめているため、あわせてご確認ください。
余裕のある勉強スケジュールを組む
電験三種に合格するためには、1,000時間以上の勉強が必要とされています。4科目(理論・電力・機械・法規)ごとに専門的な知識を暗記するだけでなく、高度な計算力が必要とされるからです。
過去問題から出題されることは少ないため、基礎知識を身につけたうえで、応用力を鍛えなければなりません。初心者・文系出身者の場合は、余裕を持って1,200時間程度の勉強スケジュールが組めると安心です。
勉強スケジュールを組む際は、試験日までの残り日数を計算しましょう。残り日数で1200時間を割ると、1日あたりの勉強時間が算出されます。
電験三種の勉強スケジュールを組む3つのポイントについて以下の記事に詳しくまとめているため、あわせてご確認ください。
【再受験者向け】電験三種の勉強方法
電験三種の再受験者向けの勉強方法は、以下の3つです。
- 苦手な科目は動画教材やセミナーを受講する
- 過去問をひたすらに解く
- 模擬試験を受ける
それぞれの勉強法について詳しく解説します。
苦手な科目は動画教材やセミナーを受講する
電験三種の再受験に向けて勉強する場合は、苦手な科目に絞って動画教材やセミナーを受講しましょう。苦手な科目の理解度を深めることで苦手意識を克服し、難解な問題も解けます。
苦手な問題の解説を何度も見返したい場合は、繰り返し再生や一時停止ができる動画教材がおすすめです。通勤・通学時間などのスキマ時間にも、動画であれば気軽に見返せます。
また、講師から直接指導を受けたいなら、セミナーや講習会を受講するのもよい方法です。ただし、セミナーや講習会は主催者によって受講料が発生する場合もあります。講義内容だけでなく、費用面も確認してください。
過去問をひたすらに解く
電験三種に合格するためには、前回受験した過去問を含め、最低3〜5年分の過去問を解き続けましょう。過去問を繰り返し解き続けることで、出題される問題の傾向や範囲を把握できるからです。
難解な問題を繰り返し解くことで、応用力も身につけられます。電験三種で出題される問題は、ほとんどが応用問題です。過去問題で正しい解き方を習得し、応用力を鍛えましょう。
また、効率よく勉強するには、知識を覚える(インプット)よりも問題を解く(アウトプット)量を増やすのがよいとされています。とくに「理論」では計算問題が約8割であり、暗記問題は約2割しかありません。
再受験者であれば、電験三種に関する基礎知識は身に付いているはずです。問題を解く(アウトプット)の量を増やすことで、合格に近づけます。
模擬試験を受ける
電験三種の試験を受ける前に、受験当日を想定した模擬試験を受けることもおすすめです。
模擬試験を受けることで、現状の実力を確認できます。実力が把握できれば、今後の勉強方法や試験対策を検討する際にも役立つでしょう。
模擬試験は電験三種の講義を実施している専門学校や、各種試験センターなどで実施されています。遠方にお住まいなどの理由で模擬試験会場に行けない場合は、オンラインで受けられる模擬試験を活用してください。
【理系・工業系出身者向け】電験三種の勉強方法
理系・工業系出身者向けの電験三種の勉強方法は、以下の2つです。
- 知識レベルに合わせた参考書・問題集を活用する
- 最低500時間の勉強スケジュールを組む
それぞれの勉強法について詳しく解説します。
知識レベルに合わせた参考書・問題集を活用する
電気に関する基礎知識があれば、専門知識が詳しく記載された参考書や問題集を活用しましょう。各単語や基礎知識の解説が省かれている分、解き方や考え方の解説が充実しています。
もし参考書や問題集でわかりにくい問題があれば、動画教材を使用したり、セミナーや講習会を受講したりするのもおすすめです。自分の知識に合わせて、必要だと思う勉強方法を取り入れてください。
また電験三種の勉強は、理論から取り組むのがおすすめとされていますが、とくに規定はありません。実際の過去問を確認したうえで、自分に合う勉強の順序を設定しましょう。
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「試験の問題と解答」
最低500時間の勉強スケジュールを組む
理系・工業系出身者の場合、4科目で最低500時間程度の勉強スケジュールを組めば合格できる可能性があります。電気に関する基礎知識が身に付いているため、初心者のように一から勉強しなくても問題無いとされているからです。
最短時間で合格するには、実際の過去問を確認したうえで1科目ごとの勉強配分を定め、細かな勉強スケジュールを組みましょう。もし社会人などで勉強時間の確保ができない場合は、科目別合格制度を利用し、1科目ずつの勉強スケジュールを計画してください。
なお、科目別合格制度を利用した場合、1科目合格してから3年以内に残りの3科目を合格しなければなりません。電験三種の試験は、1年に2回の受験が可能です。試験日を確認したうえで、余裕をもった勉強スケジュールを計画してください。
認定校卒業者で実務経験があれば試験なしで資格取得できる
電気主任技術者認定校を卒業し、規定された実務経験があれば、試験を受けなくても電験三種の資格取得が可能です。
ただし、電気主任技術者認定校を卒業していても、必要な単位を取得していなければ資格は交付されません。
もし必要な単位を取得していなければ、不足単位に応じた科目の試験に合格することで、電験三種の資格が取得できます。
電験三種の免状に関する情報について以下の記事に詳しくまとめてあるので、あわせてご確認ください。
【科目別】電験三種の勉強方法
電験三種の科目別の勉強方法は、以下のとおりです。
- 理論の勉強方法
- 電力の勉強方法
- 機械の勉強方法
- 法規の勉強方法
それぞれの勉強方法について詳しく解説します。
理論の勉強方法
理論科目では計算式を理解したうえで、応用問題を繰り返し解く勉強法を取り入れましょう。
理論は電気・電子に関する理論と計測知識が出題され、計算問題は約8割です。計算式を応用できるかが合格の鍵となるため、参考書や動画教材などを用いて、徹底的に応用力を鍛えましょう。
もし数学が苦手な場合は理論の勉強に取り組む前に、電気数学に関する参考書を併用すると理解しやすいです。基礎的な計算式が理解できている場合は、繰り返し過去問を解いて、応用問題に対応できるように対策をおこなってください。
電力の勉強方法
電力科目では暗記問題と計算問題が均等に出題されるため、まんべんなく勉強することが大切です。
暗記問題は、電力の仕組みや設備の全体像を把握できるように、知識をインプットする時間を確保しましょう。また、計算問題は理論と同様に、計算式を理解したうえで、過去問を繰り返し解き続けることが必要です。
暗記問題・計算問題のどちらかだけに注力しすぎないように、綿密な勉強スケジュールを計画してください。
機械の勉強方法
機械科目では他の3科目よりも出題される範囲が広いため、過去問から出題頻度の高い分野に注視して勉強を進めましょう。
機械は実務経験が無いと機械がどのように動くのかイメージが湧きにくく、理解するまでに時間がかかる場合もあります。参考書に描かれた図だけでなく、動画教材を用いて機械の動きを確認できると理解しやすいです。
出題される頻度の高い分野は、「変圧器、直流機、誘導機、同期機」と「パワーエレクトロニクス、情報」とされています。文章問題だけでなく計算問題も出題されるため、過去問を繰り返し解いて応用力も身につけてください。
法規の勉強方法
法規科目では文章問題が多い傾向があるため、電気設備の基準や法令を覚える時間を確保して勉強を進めましょう。
電気に関する法令は改正される場合もあるため、過去問だけでは出題範囲を網羅できません。常に新しい情報を仕入れるために、最新の参考書や問題集を活用してください。
また、法規は文章問題だけでなく、計算問題も約4割ほど出題されます。暗記問題だけに時間をかけず、文章・計算問題にバランスよく取り組むことも大切です。
電験三種の勉強モチベーションを維持する4つの方法
電験三種の勉強モチベーションを維持する方法は、以下4つです。
- 綿密な勉強スケジュールを計画する
- 得意・苦手な問題を交互に解く
- 電験三種に合格した後をイメージする
- 切磋琢磨できる仲間を見つける
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
綿密な勉強スケジュールを計画する
勉強のモチベーションを維持するために、綿密な勉強スケジュールを計画しましょう。電験三種の資格取得には、約500〜1000時間の勉強時間が必要とされているからです。
たとえば短期目標として「1日に何時間勉強する」などを立てると、毎日のルーティンとしてモチベーションを維持できます。また、チェックリストなどを用いて勉強の進捗度を可視化するのも、モチベーションを維持しやすいです。
ただし、スケジュールを細かく設定しすぎると、達成できなかった場合にモチベーションが低下します。自分のペースに合わせて、無理しない勉強スケジュールを組むことが大切です。
得意・苦手な問題を交互に解く
得意・苦手な科目や問題を交互に勉強することも、勉強のモチベーションを維持するポイントです。苦手な科目や問題が理解できないと、自分を情けなく感じられ、勉強に対するモチベーションも低下します。
得意な科目や問題に取り組むことで気持ちを切り替え、勉強に対するモチベーションの維持が可能です。得意・苦手な科目を交互に取り組んで、前向きな気持ちで勉強を進めましょう。
また、気持ちを切り替えられたタイミングで、苦手な科目や問題をどのように克服するか計画を立てることもおすすめです。勉強方法を変えてみたり、別の参考書や問題集などを調査したうえで、自分に合う勉強方法を見つけてください。
電験三種に合格した後をイメージする
電験三種に合格した後のイメージ(就職・転職・昇給・昇進など)をすることも、勉強のモチベーションを維持するポイントです。資格取得した後をイメージすることで勉強する理由を再認識でき、モチベーションの維持につながります。
また、勉強モチベーションを維持するために、自室やスマートフォンなど自分がよく見る箇所に目標を掲げるのも効果的です。目標を可視化することで気持ちが引き締まり、集中して勉強に取り組めます。
切磋琢磨できる仲間を見つける
電験三種の合格を目指すコミュニティやイベントに参加し、仲間を見つけることも、モチベーションを維持するポイントです。仲間を見つけられると、悩み相談や勉強のコツなどを共有できます。
コミュニティに所属できると、業界に関する情報交換も可能です。また、勉強会や試験対策のイベントを実施しているため、電験三種に関する知識を深められます。
電験倶楽部では、電験三種の予想問題を提供し、参加者が共に勉強できる試験対策イベントを実施しています。一緒に切磋琢磨できる仲間を見つけたい方は、ぜひ電験倶楽部のコミュニティにご参加ください。
電験三種合格のために自分に合う勉強方法を取り入れよう
電験三種の試験に合格するために、それぞれの知識レベルに合わせた勉強方法を取り入れましょう。初心者や文系出身者の場合は、電気に関する基礎知識を身につけるために通学もしくは通信講座を受けるのがおすすめです。
再受験者の場合は、繰り返し過去問を解くことで、応用力を鍛えられます。また、理系・工業系出身者であれば、知識レベルに合う参考書や問題集を活用し、勉強を進めましょう。
電験三種の合格に近づくために、科目別の勉強法や勉強モチベーションを維持する方法も取り入れてください。
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