電験三種取得者の年収は400万円~500万円
厚生労働省の「職業情報提供サイト(※1)」や求人サイトなどを参照すると、電験三種取得者の平均年収は約400万円〜500万円です。
また、国税庁が実施した「令和4年分民間給与実態統計調査(※2)」によると、日本の給与所得者の平均年収は458万円でした。この数値と比較すると、電験三種取得者の平均年収は低いということはなく、平均的な水準といえます。
※1.参照:厚生労働省「職業情報提供サイト」
※2.参照:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
仕事内容によっては年収600万円以上も可能
電験三種取得者の年収は仕事内容によって異なり、平均600万円以上の職業もあります。
厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、仕事別の平均年収は以下の通りです。
職業 | 平均年収 |
---|---|
ビル管理 | 432万9,000円 |
太陽光発電のメンテナンス | 515万2000円 |
プラント設計 | 606万2,000円 |
発電所運転管理 | 634万6,000円 |
電気技術者 | 644万5,000円 |
また、電験一種、電験二種は電験三種より広範囲の電圧を扱えるため、仕事の選択肢がより増えます。年収600万円以上を得られる仕事も多いです。
【年収例】電験三種の実際の求人
実際に全電協では電験三種(電気主任技術者)取得者を推定年収600万円〜700万円の高水準で募集しています。
求人例(2024年3月時点)は以下の通りです。
平均年収 | 月収 | 推定年収 |
---|---|---|
経験あり(関東) | 32万円~45万6,000円 | 39歳・600万円 |
経験あり(大阪・名古屋) | 30万5,000円~40万円(賞与あり) | 48歳・700万円以上 |
経験なし(電気主任技術者認定校を 卒業した方、第三種電気主任技術資格者) | 22万円~26万円(賞与あり) | – |
詳しくは全電協のホームページに掲載中です。電験三種を取得し転職をお考えの方は、ぜひ全電協をご検討ください。
電験三種の資格手当は月額1万円前後
企業により、電験三種の取得で資格手当を支給する制度を設けていることがあります。資格手当の主な種類と金額の目安は以下のとおりです。
種類 | 支給頻度 | 支給頻度 |
---|---|---|
資格手当 | 毎月支給 | 5,000円〜1万5,000円程度 |
報奨金 | 資格取得時に一度だけ支給 | 1万円〜5万程度 |
資格手当は、業務に役立つと認められる資格に対して支給されます。電気関連の仕事に就く場合、電験三種は重要な資格として認識されています。
資格手当の有無は求人票に記載されることもあるため、就職や転職の際にチェックしましょう。
電験三種の取得による年収・勤務先の違い
電験三種の取得による年収・勤務先の違いは以下の通りです。
勤務先 | 平均年収 | |
---|---|---|
取得者 | ・ビル管理・メンテナンス・商業施設保守会社 ・電気工事会社 ・電気機器製造会社 ・電力会社 ・鉄道会社 ・建設会社 ・オフィスビル ・マンション ・病院 ・工場 ・ホテル | 400万円〜500万円 |
受験者(未取得者) | ・ビル管理・メンテナンス・商業施設保守会社 ・電気工事会社 ・電気機器製造会社 ・電力会社 | 200万円〜300万円 |
電験三種を取得すると、「電圧5万ボルト未満の電気工作物(出力5,000キロワット以上の発電所を除く)の工事、維持および運用の保安の監督」(※1)が可能です。
なお、認定校卒業者が電験三種を目指す場合、資格取得要件として認められる実務ができる勤務先を選びます。
要件となる実務とは、500ボルト以上の電気工作物(発電・変電・送電・配電・需要設備など)に関する業務(監督指導を含む)です(※2)。
「令和4年度電気技術者試験受験者実態調査(※3)」では、受験者の勤務先は「ビル管理・メンテナンス・商業施設保守」が最多でした。
ただし、異業種から取得を目指す場合は、受験者の仕事や勤務先はさまざまです。
なお、電験三種を取得し資格手当を得たい人や年収アップしたい人は、以下の記事も読んでみてください。試験の概要などが確認できます。
※1.参照:一般財団法人電気技術者試験センター「電気主任技術者の資格概要と電気工作物の範囲」
※2.参照:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」
※3.参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和4年度電気技術者試験受験者実態調査」
電験三種を取得する4つのメリット
電験三種を取得して働く際の4つのメリットをご紹介します。
- 手当が支給される
- 需要がある
- ステップアップしやすい
- 長く働ける
一つ一つ見ていきましょう。
1.手当が支給される
前述の通り、会社によって資格手当が支給されることがあります。
毎月支給の場合、見込み額は月額5,000円〜1万5,000円程度です。年間では6万円〜18万円の収入アップが期待できます。
手当が支給されると生活の足しになるだけでなく、趣味やレジャー、自己投資などに使えるお金が増えます。仕事とプライベートのバランスが取りやすくなり、ストレス軽減や生活の充実につながるでしょう。
2.需要がある
再エネ設備の導入に伴い、電気主任技術者の需要が高まっている点も電験三種を取得するメリットです。
経済産業省の予測によると、2030年度時点で第三種電気主任技術者が約800人不足し、上位資格である第二種電気主任技術者も1,000人足りなくなる見込みです。
経済産業省では人員を確保するため、電験三種の受験機会を、これまでの年1回から年2回に増やすなどして対策を立てています。
需要が多いということは、その分だけ雇用の機会が多いということです。電験三種を取得して働く人には追い風といえます。
参照:経済産業省 産業保安グループ 電力安全課「電気主任技術者制度について」
3.ステップアップしやすい
電験三種は電験二種、電験一種とステップアップしやすい資格です。
電験三種の取得者が電験二種を取得するためには、以下の2つの方法があります。
- 電験二種の試験に合格する
- 5年以上の実務経験を積む
言い換えると、5年以上の実務経験があれば、試験を受けずに電験二種を取得できます。さらに、電験二種取得後も5年以上の実務経験を経て、電験一種を取得可能です。
このように電気主任技術者は無試験で上位資格を取得できる珍しい資格です。他の国家資格と比べても、電験三種は上位資格にステップアップしやすいといえます。
4.長く働ける
電験三種を取得するメリットとして、長く働ける点が挙げられます。電気設備のメンテナンスや保守、工事の監督などの仕事は、体力的な負担が大きくなく、年齢を問わずできるためです。
資格取得自体も、受験資格に年齢制限がなく、何歳からでも資格取得を目指せます。
定年後を見越して、電験三種を取得するのも一つの選択です。定年してから働くことで、生涯年収を上げられます。
関連各所のさまざまな人とのコミュニケーションが必要な仕事なので、AI技術に置き変えられず、今後も需要のある仕事といえます。
電験三種のデメリット
電験三種のデメリットは試験の難易度が高いことです。
「令和5年度第三種電気主任技術者上期試験の結果(※1)」によると、2023(令和5)年度上期の合格率は16.6%でした。「令和4年度第三種電気主任技術者上期試験の結果(※2)」では、2022(令和4)年度上期の合格率は8.3%と厳しいものでした。
これらの過去の統計から、電験三種の合格率は例年10%前後となっています。すなわち社会人が試験を受けて取得するには、難易度が高い資格といえます。
ただし、科目合格の制度があるので、理論、電力、機械、法規の4科目のうち、合格した科目は最大で連続5回試験が免除されます(※3)。科目合格制度を利用することで、複数回の受験で合格を目指すことが可能です。
また、経済産業省が定める「認定校(工業高校、大学、専門学校)」の卒業者は実務経験のみで電験三種を取得できます。単位の不足がある場合も、試験で該当の科目に合格すればよいため便利です。
※1.参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和5年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」
※2.参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和4年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」
※3.参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和5年度 第三種電気主任技術者試験 (国家試験) 受験案内 [下期受験者用]」
電験三種の資格があれば年収1,000万円も夢ではない
電験三種は取得してすぐに高収入を得られる資格ではありませんが、キャリアを積めば年収1,000万円を目指せます。
会社によっては、電験三種を活かして実践的な経験を積み重ねることで、年収1,000万円を実現しているケースもあります。
コミュニケーションスキルやマネジメント力を磨くなど、他のスキルと掛け合わせることも重要です。また、独立することで、年収1,000万円を達成できる場合もあります。
電験三種を取得してさらに年収を増やす5つの方法
最後に、電験三種を取得して年収をアップする方法を5つご紹介します。
- 実績を積む
- 上位資格を取得する
- 他のスキルを磨く
- 転職する
- 独立・開業する
一つずつ解説していきます。
1.実績を積む
実績を積むことは、会社内でのキャリアアップにつながり、年収アップの可能性が高まります。
仕事への貢献や成果などの実績が評価され、昇進や昇給につながることは少なくありません。評価が給与やボーナスに反映されたり、役職手当や職務手当が増えたりすることもあります。
また、企業は経験豊富な人材を求めることが多いため、社内だけの活躍にとどまらず、転職する際にも役立ちます。
電験三種は実務経験を積むことで、上位資格の取得が可能です。実績の積み重ねは、将来のキャリアを考える上でも重要な要素といえます。
2.上位資格を取得する
電験三種の上位資格である電験二種、電験一種を取得することで、年収アップが見込めます。
資格の種類 | 平均年収 | 業務可能範囲 |
---|---|---|
電験一種 | 550万円〜800万円 | すべての事業用電気工作物に関する保守や監督 |
電験二種 | 400万円〜700万円 | 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物に関する保守や監督 |
電験三種 | 400万円〜500万円 | 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物に関する保守や監督 |
いずれも電験三種と比べて高い水準です。
上位資格取得により業務範囲が広がるため、電験三種と比べて高い年収が目指せます。
3.他のスキルを磨く
年収をアップするためには、電験三種の取得だけではなく、他のスキルも磨くことが重要です。
効果的に年収アップを目指せる関連資格には以下があります。
- 電気工事士
- エネルギー管理士
- 電気工事施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
- 工事担任者(デジタル・アナログ)
- 認定電気工事従事者
とくに電気工事士の資格取得は相性がよくおすすめです。
電験三種は保守や監督に関する資格である一方、電気工事士の主な業務は電気関連の工事です。両方取得することで、電気に関する知識や技術が向上し、仕事の選択肢が広がります。
電験三種の資格があると、電気工事士の取得にあたり以下の点で有利です。
電験三種の取得・実務経験の状況 | 電気工事士の取得に有利な点 |
---|---|
電験三種取得 | 第一種・第二種電気工事士の筆記試験が免除される |
電験三種取得+5年以上の実務経験 | 第一種電気工事士を取得できる |
他のスキルの向上や関連資格の取得は、電機業界でのキャリアアップに役立ち、年収アップにもつながります。
4.転職する
待遇のいい会社への転職も、年収アップの方法の一つです。電験三種取得者は、工場や通信会社、商業施設などさまざまな職場で求められています。
前述したように、電機業界では電験三種取得者の需要は高いので、優秀な人材を確保するため好条件の求人が期待できます。一度、電験三種の資格ありの条件で求人を見てみてはいかがでしょうか。
実際に、全電協では電験三種の資格がある方を、高水準の年収で募集しています。転職により年収アップを目指している方は、ぜひご応募ください。
5.独立・開業する
電験三種を取得し、独立・開業することで、年収アップが可能です。人によっては年収1,000万円以上を実現しているケースもあります。
ただし、独立・開業には以下の条件を満たす必要があり、難易度は高いといえます。
- 電気主任技術者免状の交付を受けている
- 実務経験がある(電験三種:5年以上、電験二種:4年以上、電験一種:3年以上)
- 必要な機械器具がある
- 保安管理業務を行う事業場が一定の基準を満たしている
- 保安管理業務を支障なく的確に遂行できる
- 取消しを受けてから2年以内でない
独立・開業は経験や資金が必要なことに加え、顧客確保もしなければなりません。技術力だけでなく、経営力や営業力、人脈なども求められます。
独立する場合は、会社員時代から経験を積み、まずは個人事業主として協会などに所属し、仕事を獲得するとよいでしょう。個人事業主として人脈を広げ、その後開業という流れでキャリアプランを立てると成功の可能性が高まります。
参照:東京電気管理技術者協会「電気管理技術者が具備すべき要件」
電験三種取得で年収アップを目指そう
電験三種の平均年収は400万円~500万円程度で、資格手当として月額5,000円〜1万5,000円程度が見込めます。業務内容や企業により年収600万円以上も実現可能な資格です。
有資格者の需要は今後も高まると予測されるため、電験三種を取得して年収アップを目指しましょう。実績を重ねることで上位資格を取得できることから、さらなる高年収も夢ではありません。
「電験三種を取得しても、実績・実務経験がなければ転職や年収アップはできない?」と疑問に感じている方はご安心ください。
全電協では、電験三種保有者であれば、実務経験のない方も含めて積極的に募集しています。転職や年収アップを考えている方は、ぜひ弊社のホームページからご応募ください。